完全に人災でしかなかったB級映画『アースレイジ 合衆国最期の日』について語る(ネタバレあり感想)

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Yuu

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こんにちは、Yuu(@yf_y345)です。

今回紹介する映画は、

過ぎた科学を持って地球に喧嘩を売ったはいいけれど、思いのほか高値で買い取られたことに慌てふためく人類の奮闘記。自らをアクション映画と勘違いしたキレのないチェイスも繰り広げられる、よくある展開にして隙だらけのディザスターパニック。

アースレイジ 合衆国最期の日』

アースレイジ 合衆国最期の日
⒞2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.

目が大きすぎてむしろ安全、なんてことはなかったぜ!

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出典:YouTube‎ · ‎Albatrosmovie

キャッチコピー:地球は復讐する

公開:2013年
原題:500 MPH STORM
監督:ダニエル・T・ラスコ
出演:キャスパー・ヴァン・ディーン、マイケル・ビーチ、サラ・リーヴィング、 ブライアン・ヘッド、キース・メリウェザー、チャド・ブラメット

製作:アサイラム
配給:アルバトロス

製作国 :アメリカ
上映時間:87分

冒頭

リアクタービーム
⒞2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.

アメリカ政府が推進する「アポロ計画」――夢のような新エネルギー開発プロジェクトは、夢に終わった。計画の成功を急いだ科学者たちによって核融合炉リアクターから放射されたビームは想定外の異常気象を引き起こし、その嵐によってガルベストンのバルーンフェスタは大惨事に見舞われてしまう。秒速220mの超巨大嵐ハイパーケーンが発生することを知ったネイサンは、勢力を増す嵐から逃げつつ家族と共に生き残るための方法を探る。

科学者とその家族が地球の怒りを鎮めようと物理的に奮闘する映画です。

主要人物の紹介

ネイサン・シムズ

本作の主人公。長髪に髭という渋いフラグ建築士。事の発端となった「アポロ計画」の関係者。計画よりも気球が大事。

アポロ計画の研究者だからか、はたまた主人公補正か、作中で誰よりも嵐に追い掛け回されている人物。キャッチコピーに偽りなし。家族を危険から遠ざけるためにやや強引なところはあるが、それは家族と共に困難を乗り越え生き残るための選択と決断である。

モナ・シムズ

ネイサンの妻。惨事を目の当たりにしてショックを受ける息子を気遣う優しい母。しかし若干ヒステリック。

嵐に追われて逃げ込んだ山中にて鑑賞者はおろか夫と息子にも見えない脅威を察知できる能力者。彼女が何を見たのかは謎である。映らないから。その直後に車へ戻り、そのまま窓を開けて車中泊となる。一夜を明かしても彼女が何を見たのかは謎である。一切触れられないから。

ジョニー・シムズ

ネイサンの息子。そして父の意志を継ぐフラグ建築士。丁寧にフラグを立ててくれるので展開が分かりやすく、回収も早いのでテンポよく感じられる。

ゲームとネットと我が家が好き。なんだ私か。反抗期らしい態度を見せる一方、事故現場そっちのけで犬と戯れたり、枯れ木を持って一人チャンバラを始めたり、重要な場面でおっちょこちょいをやらかしたり、所々に可愛げのある一面も。それにしても学生には見えない。

サイモン・カプリス

計画を中止しようとしたネイサンの同僚。本作の男前黒人枠。

序盤の口ぶりや避難中のネイサンに電話をかけていることから、ネイサンのことを信頼し、また気にかけていることが分かる。ゲイジの「クビにするぞ!」という脅しにも屈することなく装置を止める決断をした、ある意味で本作における本当の英雄。まさかあんなことになるなんて。

ゲイジ

計画の強行に踏み切ったネイサンの同僚。本作の元凶。

サイモンに対して「クビにするぞ!」と言える立場であることからアポロ計画の現責任者と思われる。名誉を追い求める野心と立場に見合った責任感はあるのかもしれないが元凶であることには変わりない。一見かませかと思いきや、まさかあんなことになるなんて。

盛り上がりに欠ける展開

高波
⒞2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.

ただし私は大盛り上がり。ツッコミどころが多すぎて。

全体的な流れは「発生した危険から身を守りつつ、被害が拡大する中、トラブルを乗り越えながら問題を解決」というよくある展開です。最後は隙を生じぬ二段構え。この映画自体が隙だらけとは言ってはいけない。

しかしそのトラブルの数々がことごとくマッハでスピード解決に至ります。しかも展開と関係のないことが多いので印象に残らず、緊張感はなく、結果として盛り上がりに欠けてしまう。

トラブルの数だけは多いので、そこそこテンポよく観られる作品ではないでしょうか。ここでは映画そのものから途中離脱する可能性は考えないこととする。

完全に人災だった

完全に人災
⒞2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.

なお暴走している模様。できなかったからこうなったんでしょうがァ!!

オゾン層にリアクタービームを照射して石油に代わる新たな再生可能エネルギーを取り出すという「アポロ計画」。原理は置いておいて、とにもかくにも計画の失敗によって嵐が引き起こされます。

計画が失敗した原因は「リアクタービームの威力が予想より強かったため」。オゾン層に穴を開けるようなビームです。出力こそ一番気を付けて調整するべきところだったのでは。様子がおかしいと分かった時点で即中止の決断をしなかったことも重大なミス。

今回のように計画の失敗だとか、怪しい研究所の実験だとか、遺伝子操作による突然変異だとか、ディザスターパニックとモンスターパニックは言ってしまえば人災であることがほとんどです。ほとんどだけれども、今回は特に激しいうっかりミス。

圧倒的説明不足

Q.なんで?
A.急げ!早くしろ!(答えない)

Q.どういうこと?
A.いいから!(よくない)

Q.どうなる?
A.すぐに分かる!(分からない)

いっそ清々しいほどに説明する気がゼロである。

もちろん上記以外にも説明不足なやり取りがチラホラ見られます。後の展開に関係することは積極的に濁していくスタイル。嫌いじゃないわ。

個人的な評価:6.5/10

[rate title=”6.5/10”] [value 4.5]展開の強引度[/value] [value 5.0]謎理論度[/value] [value 4.0]ツッコミどころの潤沢度[/value] [value 2.0]オススメ度[/value] [value 3.5 end]お気に入り度[/value] [/rate]

無言シーンと謎スローがそこそこ目立ちます。逃げる最中に主人公の家族が賑やかすぎる場面があるものの、充分に許容範囲内でした。

登場人物が少なく、特に序盤は逃げる主人公たちと研究所との行ったり来たりで物語が進みます。人によっては解決に向けて動き始めるまでが少し長く感じられるかもしれません。

血のりが終盤に少量と、ゴア描写らしいゴア描写はありません。キスシーンは洋画のお約束のごとくありますが、お茶の間が気まずくならない程度の一瞬かつ主人公の息子が一緒に気まずそうなので、むしろ笑えるのではないでしょうか。安心して家族で鑑賞していただけます。楽しめるかどうかは別として。

余談ですが、本作の始まりの土地であるガルベストンには実際に巨大嵐が上陸したことがあったそうです。

ハリケーン・ガルベストンは、1900年にテキサス州ガルベストンを高潮により壊滅させたハリケーンである。
カテゴリー4のハリケーンである。1900年9月8日ガルベストンに上陸した。8~15フィートの高潮を起こし、ガルベストン島の大部分を浸水させた。

出典:wikipedia ハリケーン・ガルベストン

本作のモデルとなった出来事かは不明です。カテゴリー4が風速131~155MPH(秒速59~69m)とのことなので、原題の500MPHはとにかく凄まじいのだと思っていただければ。

※以下ネタバレを含むツッコミどころと感想です。ぜひ鑑賞後にご覧ください。

[open title=”クリックでネタバレを含む諸々を表示”]

※以下ネタバレを含むツッコミどころと感想です。ぜひ鑑賞後にご覧ください。

『アースレイジ 合衆国最期の日』感想

サイモンも言っていました。

つまりシャークネード
⒞2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.

つまりサメ(暴論)

執拗に主人公たちを追いかける竜巻。合わさることで勢力を増す竜巻。頻発する割には本編に関係のないハプニング。「家族」にこだわりを見せる主人公。サメ映画でもないのに爆発オチ。ラストのカメラワーク。これサメの出ないシャークネードなんじゃないかな(暴論)

面白かったです。そして好きです。安定の謎理論と謎現象と多数のツッコミどころも手伝って最後まで楽しみながら観ることができました。再鑑賞もそこまで苦ではありません。

惜しむらくはあまりにもあっさりとサイモンが退場してしまったことです。退場直後もゲイジがネイサンに電話で報告した後も、特に掘り下げられることなく話が進みます。やっぱりシャークネードじゃないか。

とはいえ、サイモンではなくゲイジが生き残ったことは意外性という点でプラスでした。研究所から逃げた後は一切触れられないのもお約束。そこも含めて楽しかったです。

ツッコミどころ8選

絞って8つです。実に豊作で嬉しい限り。映画としては豊作でない方がいいのだろうと思いつつ、私個人としては非常に嬉しい。

ずっと晴天

おわかりいただけただろうか
⒞2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.
おわかりいただけただろうか。車の下には、はっきりと映りこむ黒い影が……。

B級映画では定番なのだからツッコむほどのことでもないのでは、と思われるかもしれません。私も最初は「これまた良い天気だな~」と、安定のアサイラムクオリティに穏やかな気持ちすら覚えました。

しかし観ているうちに、ふと気が付いたのです。本作は太陽が隠れている場面を探す方が難しいレベルであると。雨ではなく汗で服が濡れています。リポーターはレインコートすら着ていません。晴天時の映像にフィルターをかけ、雨と竜巻を合成することで誕生したB級感あふれる映像美。妙に迫力のある竜巻は必見……必見……?

ホーミング竜巻

ホーミング竜巻
⒞2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.

アースレイジ産の竜巻には蛇行運転する車を右へ左へと追いかけ回す高性能なホーミング機能が搭載されています。

一度は主人公一行の車を巻き込んだものの、主人公補正によって抜けられてしまう気の毒な竜巻。基本的に車の後ろに陣取っているので頻繁に映ります。そこら中で発生しているわりには主人公の車しか追いかけられていないのは仕様です。

さすが竜巻がメインの映画、竜巻のCGに力が入っていることが観ていて分かります。その力の入れ具合を少しでも雨のCGに分けてあげていればと思わずにはいられない。

棒立ちリポーター

濡れていないリポーター
⒞2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.

帰れませんでした。

レインコートすら着ていないリポーターとは彼女のこと。後ろからはホーミング竜巻から逃げる主人公一行の車が向かってきています。リポーターを追い越していく主人公一行の車。主人公一行の車を追う竜巻。あとは分かるな?

百歩譲って、こちらを向いているリポーターは竜巻に気が付けなかったとします。しかしこちらから奥に向かって撮影しているカメラマンは竜巻に気が付かない方が難しいのではないでしょうか。こまけぇこたぁいいんだけども。

それから、せめてレインコートを支給してあげてください。服も髪も濡れていないからこそ必要です。

謎の脅威

謎の脅威
⒞2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.

一応、モナの目線の先からは動物の唸り声のような音が聞こえています。しかし映らない。モナとジョニーは警戒するような素振で車に戻るものの、いかんせんネイサンが平常運転のため危機感はありません。ネイサンは「聞こえるぞ!」と言っていましたが、おそらく嘘です。

モナが見た何かについては一切触れられません。触れられないどころかこの直後、まるで何事も無かったかのように窓を開けたまま車で一夜を明かします。この家族、豪胆である。

ちなみに無事に一夜を明かすことができたのは標高が高い場所で嵐が来られないからです。ネイサン曰く雲の上とのことなので結構な高さ。

自業自得のジョニー

接近する嵐に接近するジョニー
⒞2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.

「絶対に安全だ」と分かりやすく立てたフラグを回収します。近づいてくる嵐を見上げながら、なぜか避難せず自分からも嵐に近づくという積極的なアプローチを見せるジョニー。

これまで散々逃げてきて何故そこで近付いたのか。案の定、飛んできた木の枝に当たって倒れてしまいます。モナに助け起こされ、肩を借りつつ小屋へと避難するのですが、画面には直前の出来事などなかったかのように腕を振りながら小走りしている元気なジョニーの姿が。肩を借りる必要などなかった。

小屋へ逃げ込んでからは肩が痛そうにしています。しかし木の枝が当たったのは頭です。顔面セーフ。

対岸の火事

対岸の火事
⒞2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.

ただし無関係ではない。

落雷によって火災の発生した自然保護区から、結構な幅の川を渡って辿りついたはずの対岸が火事という不思議。

文字が流れるモニターからヘリの存在と位置を把握して鍵まで確保するジョニーの有能さとか、逃げる際に通った雑木林が綺麗に植林されていて走りやすそうとか、川に出た時に上流からどんぶらこしてきたものとか、そもそもこんな場所にヘリがあるということ自体が相当おかしいとか、とにかくツッコミが追いつかないシーンです。

そしてヘリの操縦ができるネイサンすごい。非常時でも車ではシートベルト、ヘリではヘッドセットの着用を忘れず家族にも促す真面目なネイサンです。

嵐の目ってなんだっけ

嵐の目の中
⒞2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.

私の記憶が確かならば、台風ハリケーンの目の中とは穏やかなもの。どうやら記憶違いだったんだぜ。

目の中でもなんのその、暴風雷雨の大荒れ模様。最終的にはネイサンの体がほぼ垂直まで浮き上がってしまうほどの暴風です。この状態から助かるあたりが主人公ですね。せっかくのネイサンの魅せ場なので、秒単位で伝えた座標よりもGPSの方が正確という謎は置いておきます。本来ならばする必要のない苦労でした。

ラストの雑コラ感

雑コラ
⒞2013 THE GLOBAL ASYLUM INC.

違和感しかない。

B級映画でCGについてツッコむのはナンセンスだと常々思っていますが、さすがにツッコミたい気持ちを抑えられませんでした。

明らかに縮尺のおかしな車、荒野に突然現れたかのような街、とりあえず足してある水道管。なんだかんだこれまでは結構しっかりと街中の描写があったので違和感が凄まじい。主な原因は足下の白線だと思います。最後の最後まで笑うと同時に、なんかこう、最後の最後でとても勿体ない気持ちになってしまいました。

良くも悪くもアサイラムらしさを堪能できる映画です。さ、もう1回観よう。

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